大阪市北区にある関西合同法律事務所 弁護士歴30年井上直行のBlog エッセイならぬdessay です
法律事務所随想 | 弁護士つれづれ | 裁判所周辺の四季 | 裁判 | 憲法 | 教育・学校 | 土地建物 | 事故 | 労働 | セクハラ・パワハラ | 家族 | 離婚 | 遺言 | 商事 | カードサラ金借金 | 消費生活 | 環境 | 被害者 | 刑事 | 書評 | 旧所名跡 | 落語・漫才 | チャングム | 未分類 | 
弁護士井上直行です
リンクです
FC2カウンター
井上直行 弁護士ブログ  関西合同法律事務所 デッセイ
≪2017.05  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  2017.07≫
最新記事
2006.02.21 Tue
訴訟能力
訴訟能力というのは、訴訟行為を有効に行う能力です。
刑事事件の被告人の場合には、憲法上の被告人の権利を理解して、
裁判上の攻撃防御方法をなしうる能力ということになるでしょう。

憲法上の権利としては、「黙秘権」と「弁護人の援助を受ける権利」が重要です。
「黙秘権」は、
「被告人には、黙秘権があります。
質問に対し、終始沈黙することができますし、一部につき供述を拒み、一部につき供述することもできます。但し、供述した場合それは自己に有利にも不利にも証拠となります。」と説示するのが通例です。

つまり、被告人とすれば、利害得失を理解して、裁判で供述したり、行為したりする能力が必要だということになります。

この能力がなければ、訴訟能力がないことになります。

一時的に訴訟能力がないときは、「公判停止」して回復を待つことになりますし、
恒常的に訴訟能力がなく、回復の見込みがないときは、「裁判の打ち切り」をするほかないことになります(「公訴棄却説」)。

引用
出典:オウム・松本被告の鑑定書公開「精神病の水準にない」ー2006年2月21日 読売新聞

オウム真理教の松本智津夫被告(50)(1審・死刑)の控訴審で、東京高裁(須田賢裁判長)は20日午後、同被告の訴訟能力を認めた精神科医の鑑定意見書の内容の一部を明らかにした。
 鑑定書は、松本被告は拘禁反応(長期拘置による精神の異常)の状態にあることを認めた上で、「訴訟をする能力を失っていない」としている。
以上読売新聞より引用


この報道では、
松本被告には「強い無罪願望があり」とされていますので、
裁判の利害得失を理解しているという結論になるでしょう。

「コミュニケーション能力はある」とした点ですが、
これは、弁護人の援助を受ける権利と密接に関連します。

弁護人と被告人との間で、コミュニケーションがとれなければ、
被告人は弁護人による有効な援助を受けられないからです。

精神的ないし器質的障害により、コミュニケーション能力に欠けるときも、訴訟能力がないことになります。

但し、このコミュニケーション能力については、ある程度抽象的な能力でも足りると考えられており、
被告が「強い無罪願望があり」ということが弁護人にわかるのであれば、それで、コミュニケーションはとれたと解釈できるでしょう。
弁護人とすれば、「無罪」のために、被告の具体的願望を忖度して
弁護活動をすればよいのであり、またそれが責務でしょう。

その意味で、被告の「訴訟能力」を争点にしたい(あるいは、裁判進行を望まない)という気持ちを忖度して、控訴趣意書を期間内に提出しなかったのなら、それ自体批難を受ける理由はないだろうと思います。

しかし、「訴訟能力あり」という結論が出てしまったら、
あとは、「強い無罪願望」に依拠して、用意した控訴趣意書を提出すべきでしょうね。

「裁判進行を望まない」に依拠して、弁護人辞任するということがあれば、裁判妨害として問責されても仕方ないでしょう。
スポンサーサイト

刑事    Comment(0)   TrackBack(0)   Top↑

Comment

管理者にだけ表示を許可する

Top↑

TrackBack
TrackBackURL
http://kansaigodo.blog42.fc2.com/tb.php/90-eaf1fb30

Top↑