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2006.02.14 Tue
1910年2月14日 安重根に死刑判決
[旅順(関東州) 1910年2月14日 ]
関東都督府地方法院は2月14日、昨年10月26日にハルピン駅にて枢密院議長・前韓国統監の伊藤博文(67)を殺害したとして逮捕された韓国人安重根(30)に対し、死刑判決を下した。

書評:安重根と伊藤博文 中野 泰雄 (著)

2月14日は、安重根に対して、死刑判決が下された日だそうです。
中野泰雄氏の著作「安重根と伊藤博文」を読みました。

法廷の構成は、
裁判官 真鍋十蔵
検察官 溝渕孝雄
官選弁護人 水野吉太郎 鎌田正治
被告 安重根 禹徳淳 曹道元 劉東夏
でした。

検察官の論告求刑は、
安重根らは、事業失敗の私怨から、伊藤博文一行を狙撃し、伊藤博文を殺害し、随員3名を殺害しようとして未遂に終わった。
よって、4名に対する殺人既遂と未遂で、死刑を求刑する
というものでした。

これに対する官選弁護人の弁論は、
1891年大津市内で、ニコライロシア皇太子を殺そうとした津田三蔵巡査は、無期徒刑判決を受け、
1895年下関市内で、李鴻章清国全権代表を殺そうとした小山六之助巡査は、無期徒刑判決を受けたが、
本件は、これらに比べて、一層愛国の至情によるものである
1862年伊藤博文自身も、高杉晋作らと江戸品川のイギリス大使館の焼き討ちに参加したことがある
懲役3年の刑に処すべきである
というものようなものでした。

判決主文は、
主犯の安重根は死刑
従犯には、1年6月~3年の懲役でした。

理由は、
伊藤博文に対する殺人は、「深謀熟慮にでて、かつ厳粛なる警護を犯し、人士の集合せる場所において敢行したるものなれば、これに殺人罪の死刑に処すべきものとし」随員に対する3個殺人未遂については「その刑を科せず」としました。

今、私がこの判決をみるに、
裁判官は、
検察官が死刑を求刑するために苦心した
「私怨」による「4個の殺人・殺人未遂」を退けたわけです。

しかし、裁判官が、1個の殺人既遂で、死刑にしたは、
刑の量定として疑問を感じます。
「深謀熟慮にでて、かつ厳粛なる警護を犯し、人士の集合せる場所において敢行」したとしても、それは死刑の理由にはならないでしょう。

その意味で、官選弁護人のいうように、
大津事件や下関事件との対比でいっても、司法の独立は守られず、
政治的意図で死刑にしているといえるのではないでしょうか。

安重根と伊藤博文 中野 泰雄 (著)
弁護士にとっても考えせられる著作です。

1人殺せばテロリスト 万人殺せば英雄ですから
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