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2006.02.10 Fri
横浜事件 治安維持法
横浜事件(治安維持法違反被告事件)の再審判決公判が開かれ、免訴判決が言い渡された。

引用
出典:横浜事件再審、元被告5人に免訴判決ー2006年2月9日日本経済新聞
戦時中の大規模な言論弾圧事件「横浜事件」で、治安維持法違反の有罪判決が確定した元被告5人の再審判決公判が9日、横浜地裁であり、松尾昭一裁判長は有罪か無罪かを判断せず裁判を打ち切る免訴の判決を言い渡した。
以上日本経済新聞より引用


起訴された犯罪事実とは、
「泊共産党再建事件」などの各種の治安維持法違反事件です。

「泊共産党再建事件」とは、
富山県泊町(細川嘉六の郷里)に、雑誌「改造」「中央公論」の編集者や研究者を招待した際開かれた宴会の1枚の写真から、神奈川県警察特別高等課が「この会合は共産党再建の会議」と決めつけ,改造社,中央公論社,日本評論社,岩波書店,朝日新聞社などの編集者を検挙し,拷問により自白を強要し、でっちあげた事件です。

太平洋戦争中である1942年(昭和17年)には、すでに日本共産党は度重なる弾圧で壊滅的打撃を受けており、「共産党の再建の会合」などありえないことは常識でした。警視庁は事件の構図を疑問視していたと言われています。事件自体が神奈川県警察特高課による創作でした。

治安維持法とはなんでしょうか?
第1条
 国体ヲ変革スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ従事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ7年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ処シ
情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為ニスル行為ヲ為シタル者ハ3年以上ノ有期懲役ニ処ス

ここにいう「国体」とは、
「万世一系ノ天皇君臨シ統治権ヲ総攬シ給フコト」を意味します。

治安維持法は、神権主義的天皇制の国家体制維持を目的にした法律です。

しかし、
こういう国家体制は
1945年(昭和20年)8月14日アメリカ・イギリス・中国代表による連合国ポツダム宣言を受諾したことにより崩壊したのです。
天皇がポツダム宣言を受諾したことによって、ポツダム宣言のいう国民主権・民主主義等の原則に適合しない大日本帝国憲法下の諸法令は、法規性を失い、治安維持法も当然失効したのです。

終戦後に判決
ところが、横浜事件の被告たちは、終戦後の昭和20年9月から10月にかけて拙速な裁判で一律に懲役2年,執行猶予3年の有罪判決を受けたのです。

根拠となる治安維持法が8月14日に実体を失っているのに、その後の9月10月に有罪判決を受けるというのはおかしすぎるわけです。

これが、横浜事件の再審と無罪が求められてきた理由です。

では、なんでそんなことになってしまったのでしょうか?

それは、ポツダム宣言の受諾で「国体」が変革したにもかかわらず、
治安維持法体制を維持してきた特高警察・思想検事・裁判官が
戦後もそのまま公安警察・検察庁・裁判所に居座ったからです。
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横浜事件の免訴に怒っています Posted by ミューおばさん
TBありがとうございました。埼玉で団塊の世代の応援サイト「元気埼玉」を一人で作っています。
http://www.genki-saitama.com
ニュースで初めて横浜事件を知りました。
サイトを作っていて、自分たちの生きてきた60年の流れをもう一度考えるようになりました。
このブログを読んで事件の内容がよくわかりました。
また、時々勉強しに参ります。
2006.02.10 Fri 14:20 URL [ Edit ]

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だんなの屋根裏部屋 2006.02.13 Mon 14:40
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ろーやーずくらぶ 2006.02.10 Fri 17:19
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りゅうちゃんミストラル 2006.02.10 Fri 15:36
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ねじれ川柳惑星 2006.02.10 Fri 09:18
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ヤジ猫 2006.02.10 Fri 01:16

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