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2016.11.09 Wed
高校柔道部の女子生徒が練習試合中に頭部を打ち重篤な後遺障害が生じたことについて、顧問教諭には女子生徒を練習試合に出場させた過失があるとされた事例
 高校柔道部の女子生徒が練習試合中に頭部を打ち重篤な後遺障害が生じたことについて、顧問教諭には女子生徒を練習試合に出場させた過失があるとされた事例

札幌地方裁判所平成24年3月9日判決 
原告:生徒外 被告:北海道
判例時報2148号101頁

 教育活動の一環として行われる学校の課外の部活動においては、生徒は担当教諭の指導監督に従って行動するのであるから、指導教諭は、できる限り生徒の安全にかかわる事故の危険性を具体的に予見し、その予見に基づいて当該事故の発生を未然に防止する措置を採るべきである。とりわけ部活動において、柔道の指導に当たる教諭は、柔道が互いに相手の身体を制する格闘技能の修得を中心として行われるものであり、投げ技等の技をかけられた者が負傷する事故が生じやすく、ラグビーと並んで部活動における死亡確率及び重度の負傷事故の発生確率が他の種目と比較して有意に高いものであって、年間2名ないし3名程度の死亡者が存在するという状況にあることから、生徒の健康状態や体力及び技量等の特性を十分に把握して、それに応じた指導をすることにより、柔道の試合又は練習による事故の発生を未然に防止して事故の被害から当該生徒を保護すべき注意義務を負うというべきである。

 急性硬膜下血腫は、外傷により脳と硬膜の間に血腫が広がった病態であって、重症の急性硬膜下血腫についてはスポーツに復帰することは不可能であり、軽症の急性硬膜下血腫についても、血管が内膜、中膜及び外膜を含めて通常の強度を再度獲得するには最低でも1、2か月は必要である上に、受傷前と全く同様の強度を得られるとは限らず、短期間でスポーツに復帰することは、いわゆるセカンドインパクトシンドローム(一度衝撃によりダメージを受けた脳に対して二回以上の同様のダメージを受けることによって軽症であった患部のダメージが広がり致命的になる症候群)を惹起する可能性があることが認められる。

 急性硬膜下血腫の一般的な危険性に照らせば、本件柔道部の指導教諭らにおいては、原告に急性硬膜下血腫が生じたことを認識した以上、本件事故当時において、原告が頭部に衝撃を受けた場合の危険性が格別に高いことを当然に認識すべきであった。

 原告の受身を含む柔道の技能がさほど高くなかったことを併せ考慮すれば、原告を本件練習試合に出場させた場合、対戦相手から、原告が十分に対応できない技を仕掛けられて頭部を打ち付けるなどする可能性が相応にあったものと認められる。

 本件顧問教諭らは、原告を本件練習試合に出場させるべきではなかったにもかかわらず、これを怠り、漫然と原告を本件練習試合に出場させた過失があるというべきである。


 「柔道はラグビーと並んで部活動における死亡確率及び重度の負傷事故の発生確率が他の種目と比較して有意に高いものである」とされている。
 大阪地方裁判所平成5年12月3日判決(判例タイムズ868号234頁)は、高校ラグビー部の紅白試合でスクラム中に1年生徒が頸髄損傷を負ったことについて、指導教諭の安全配慮義務違反を認めている。
 「1年生である原告を左プロップにつけ、前記のような編成の紅白試合に参加させたことから、指導者である教諭には、試合の具体的局面において適切な管理をし、原告の安全に十分配慮し、危険の発生を未然に防止すべくより細心の注意が要求されていたのに、実際には、教諭においては、めくれ上がりの危険に対する認識が十分でなかった上に、レフェリーに徹していたために、Aチームの押しが強くBチームは盛り上がり気味となり、第8回目のスクラムではAチームが大幅に押し進みBチームは後退し、スクラムの盛り上がりの状態も原告が首を抜くほどであったことや、それらの事態のもたらす危険性を看過し、右のような危険な状況が再び発生しないよう適切な措置を講ずることもなく、試合を続行させたものというほかない。このことが安全配慮義務に違反すること、及び、そのことと本件事故の発生との間の因果関係があることは明らかであるといわざるをえない。」としている。
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