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2016.05.26 Thu
中学校生徒が柔道部の顧問教諭との乱取り稽古中に重傷を負った事故について、指導に見せかけた暴行制裁を加えたという故意があったとまでは認められないものの、顧問教諭の過失があるとされた事例
 中学校生徒が柔道部の顧問教諭との乱取り稽古中に重傷を負った事故について、指導に見せかけた暴行制裁を加えたという故意があったとまでは認められないものの、顧問教諭の過失があるとされた事例
 横浜地方裁判所平成23年12月27日判決 (原告生徒外、被告横浜市外)
判例タイムズ1378号122頁

 柔道は技能を競い合う格闘技であり、本来的に一定の危険が内在しているから、学校教育としての柔道の指導、特に、心身ともに未発達な中学の生徒に対する柔道の指導にあっては、その指導に当たる者は、柔道の試合又は練習によって生ずるおそれのある危険から生徒を保護するために、常に安全面に十分な配慮をし、事故の発生を未然に防止すべき一般的な注意義務を負う(最高裁平成6年(オ)第1237号 同9年9月4日第1小法廷判決・裁判集民事185号63頁参照)。

 柔道の死亡事故の60~70%以上が、急性硬膜下血腫を原因としていると認められる。また、柔道は格闘技であり、死亡や重大な傷害が生じる危険のあることは、一般的に知られているところである(公知の事実)。

 被告教諭は、絞め技により、原告を「半落ち」状態に陥らせ、その後、覚醒させたものの、原告は、意識がもうろうとし、通常時よりも受け身がとりづらく、また、首の固定が十分ではないため頭部に回転力が加わりやすい状態にあったのであり、そのような状態で乱取りを続ければ、重大な傷害の結果が生じる危険性があったものということができる。そして、そのことを柔道の指導者である被告教諭は認識することができたものというべきである。それにもかかわらず、被告教諭は、原告一郎が上記の状態にある中で、原告を休ませることなく、そのまま乱取りを再開し、3セット目の終了のブザーが鳴った後も、組み合ったまま、4セット目に入り、乱取りを行っており、その結果、原告の傷害を生じさせている。
 以上からすると、上記「半落ち」後にそのまま乱取りを再開すれば、原告に重大な傷害結果が生じ得ることは、被告教諭において、予見することができたといえる。そして、原告が中学3年生であることに照らすと、教師である被告教諭においては、乱取りを中止したり、休憩を取らせるなどして、原告の意識が正常な状態に回復するのを待つべき義務を負っていたといえる。しかるに、被告教諭は、そのような措置を取らず、そのまま乱取りを再開し、原告に傷害を負わせたのであるから、上記義務を怠った過失があると認められる。


 部活の顧問教諭が生徒に対し故意に制裁を加えたという主張を裁判で立証することは、閉鎖的な空間である学校部活を舞台とする以上、たいへん困難であろう。
 柔道の死亡事故の60~70%以上が、急性硬膜下血腫を原因としていると認められ、柔道は格闘技であり、死亡や重大な傷害が生じる危険のあることは公知の事実であるとして、顧問教諭の過失を認定している。
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テーマ:教育問題 - ジャンル:政治・経済
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