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2017.08.05 Sat
寺院境内墓地において、寺院の定める方式に従い墓地を使用する旨の合意があっても、その拘束力は墓地使用権を承継した者には及ばないとし、承継者による無典礼の方式による遺骨の埋蔵を拒絶することはできないとされた事例
 寺院境内墓地において、寺院の定める方式に従い墓地を使用する旨の合意があっても、その拘束力は墓地使用権を承継した者には及ばないとし、承継者による無典礼の方式による遺骨の埋蔵を拒絶することはできないとされた事例

宇都宮地方裁判所平成24年2月15日判決
判例タイムズ1369号208頁

主文
 被告は、原告に対し、別紙物件目録記載の墓地内の別紙図面の墓地区画への無典礼の方式による別紙遺骨目録記載の遺骨の埋蔵を妨害してはならない。

理由
 本件墓地は寺院墓地であり、その墓のほとんどは浄土真宗本願寺派の典礼に従い使用されてきたことが認められ、原告の祖先が被告との間で本件墓地使用権の設定を合意するに当たっても、被告の定める典礼の方式に従い墓地を使用するとの黙示の合意が成立したものと認めるのが相当である。
 しかしながら、本件墓地使用権を承継した者が異なる宗派となった場合にまで上記の黙示の合意の拘束力が及ぶかどうかについて、これを定めた墓地使用規則はなく、また、その場合にも被告の典礼の方式に従うとの慣行があったことを認めることもできない。以前は、いくつかの異宗派の者が、その宗派の定める典礼の方式により本件墓地内に墓石を設置し、遺骨を埋蔵していても、被告が寺として異議を述べた事情は認められない。そして、原告も、浄土真宗本願寺派とは異なる題目の墓石を設置し、法名の授与を受けずに遺骨を埋蔵していたものである。
 以上によれば、上記の黙示の合意の解釈として、本件墓地使用権を承継した者が異なる宗派となった場合に、その者に対し被告の属する浄土真宗本願寺派の典礼の方式に従うことを求める効力があるとするのは困難であり、その者が浄土真宗本願寺派とは異なる宗派の典礼の方式を行うことを被告が拒絶できるにすぎないと解するのが相当である。


 寺院境内墓地においては、墓地使用はその寺院の檀信徒(檀家と信徒)であることが前提となっていることが通常である。墓地使用権者が後に改宗した場合、墓地使用権を失うのかという問題が発生する。
 
津地方裁判所昭和38年6月21日判決(下級裁判所民事裁判例集14巻6号1183頁)は、
「従来から寺院墓地に先祖の墳墓を所有するものからの埋葬蔵の依頼に対しては寺院墓地管理者は、その者が改宗離檀したことを理由としては原則としてこれを拒むことができない。」
 としつつ
 典礼の方式については、
「埋葬蔵が宗教的典礼を伴うことにかんがみ、右埋葬蔵に際しては寺院墓地管理者は自派の典礼を施行する権利を有し、その権利を差し止める権限を依頼者は有しない。
 従つて(1)異宗の典礼の施行を条件とする依頼(2)無典礼で埋葬蔵を行うことを条件とする依頼(異宗の典礼は施行しないが、当該寺院の典礼の施行も容認しない趣旨の依頼)
 このような依頼に対しては、寺院墓地管理者は自派の典礼施行の権利が害されるということを理由にしてこれを拒むことができる。」
としている。

  宇都宮地方裁判所平成24年2月15日判決は、承継者が改宗した場合には無典礼の方式による遺骨の埋蔵を拒絶することはできないとし、津地方裁判所昭和38年6月21日判決とは異なる判断をしたことになろう





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