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2006.02.07 Tue
高利貸 不動産売買か譲渡担保か
高利貸が、3ヶ月サイトで金を貸し付けて返せないからと土地建物を巻き上げてしまうという手口は多いです。
これについて判決が出ました。

引用
出典:不動産売買装う高利金融、貸手優位に歯止め 最高裁判決ー2006年2月7日朝日新聞

土地や建物を買い取る代金の名目で金を貸し付けて「借り手は一定期間であれば、不動産を買い戻せる」との特約をつけ、代金と費用(利息)の返金を求めつつ、返せなければ不動産を完全に自分のものにして大きな利益を得る――。こんな高利の貸金の手法に歯止めをかける初めての判断が7日、最高裁第三小法廷(上田豊三裁判長)で示された。大分市の貸金業者が、借り手に土地と建物の明け渡しを求めた訴訟で、同小法廷は「真正な売買契約とは言えない」と判断。貸手側の主張を認めた一、二審判決を破棄し、業者側の請求を棄却した。
以上朝日新聞より引用


平成18年2月7日 最高裁判所第三小法廷判決 平成17年(受)第282号 建物明渡請求事件

事実関係を読んで見ると、地方裁判所と高等裁判所が、高利貸業者が締結した「買戻し特約付きの売買契約」を、真の売買契約と判断したのかがそもそもおかしいです。
最高裁判所もこりゃ放置できんということで、借主側の上告受理申し立てを認めたのでしょう。

最高裁判所が
「買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産の占有の移転を伴わない契約は,特段の事情のない限り,債権担保の目的で締結されたものと推認され,その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である。」としたのは判例として高く評価できます。

高利貸による不動産売買契約に歯止めをかけることになります。
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テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済
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2006.02.07 Tue
学校施設の利用と右翼団体の妨害
教員団体が学校施設を利用する場合に、右翼団体の妨害が予想されることがあります。
そんな場合について判例が出ました。

引用
出典:会場拒否、呉市の敗訴確定 広島県教組の教研集会ー'06/2/7中国新聞

呉市の教育委員会が、右翼団体が押し掛けるなどの理由で市立中学校を教育研究集会の会場として使用させなかったのは違法だとして、広島県教職員組合が市に三百万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷は七日、市に五十万円の支払いを命じた一、二審判決を支持。市の上告を棄却した。市の敗訴が確定した。
以上中国新聞より引用


学校施設は、教育が本来の目的ですから、それ以外には原則として利用できません。
だたし、休日とか時間外で学校施設が空いているときには、空き公共施設を利用するという意味で
教育目的に反しない限り、利用できます。

教員団体が、学校施設を借りて、教育についての研究会合をするというのはよくあることでしょう。

他方で、右翼団体は、日本教職員組合(日教組)や全日本教職員組合(全教)の教育研究集会を妨害するのが年中行事のようになっています。

このような妨害は憲法が保障した集会の自由を侵害する行為です。

学校施設での教育研究集会に対して、妨害が予想されるとして、貸さないとか貸したのを取り止めるということになれば、どこででも集会をすることができなくなります。
それでは、公共施設が、妨害団体の片棒を担ぐことになりかねません。

判決は当然の結論でしょうね。

教育・学校    Comment(0)   TrackBack(1)   Top↑